今、とある書籍が話題になっています。それは「92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て」という本で、足利市の歴史ある保育園で勤務する92歳の保育士の保育法が素晴らしいと注目されているようです。
この保育園では意図せず「モンテッソーリ教育」と「アドラー心理学」のいいとこどりをした保育法を実践しています。
これらは育脳についてかじったことのある方なら当然耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
今回はこちらの本で紹介されている1エピソードをご紹介したいと思います。
自分の保育や常識を過信せず、子どもがなぜそうしたのかを考える。
ある園児は保育士と話すときにいつもそっぽを向いて横に顔を向けていたようです。
話しかけても顔をそらしてしまい、保育士からするとあまり良い気分ではありません。もちろん、保育士だけでなく誰に対してもそうするので、これは良くないことだと感じた保育士は園児に注意をします。
「誰かがお話ししているときはちゃんと聞こうね」「顔を背けるのはだめだよ、話している人の声を聴くような態度をしないと」
しかし、何度注意してもその園児は態度が変わりません。
話しかけてもいつも顔を背けて横を向いてしまうのです。
しかし、後から分かったことですが、その園児は片方の耳が聞こえにくく、よく聞こえる方の耳を話している人の方に向けていたため、結果として横向きになり顔を背けてそっぽを向いていたようになっていたそうです。
子どもと対話をし、理由を知ること
このように、保育の教科書やマナーブックだけではわからないことが現場にはたくさんあります。
上のケースのように何か理由があることも多く、子どもは正当にしているにもかかわらず保育士に叱られて意固地になり理由を話さなくなったため、なぜその態度をとるのかがわからないままずっと保育士は叱り続ける…という悪循環になってしまいました。
保育士は子どもを注意深く観察し、普段と違うところや周りと違うところをいち早く察知しなければいけない。また、子どもとのコミュニケーションの中で様々な変化に気づいていくことが重要なのではないかと感じます。